「甲子園の星」はもう、昔の話だ。ロッテ藤原恭大外野手(19)が7日、自主トレを公開した。「このまま流れ作業というか、ただ年をとっていきたくないと思いますね」。大阪桐蔭時代、甲子園春夏連覇で脚光を浴びたスター候補生とは思えない言葉だ。

昨季、高卒新人として54年ぶりの開幕スタメンも、終わってみれば1軍で2安打。「思ったより手ごたえがなかったので、1年目は…」と口も重い。FAで福田秀が加入。外野枠は「3つとも埋まっていると思っています」と現実を見る。「もう1回あそこの舞台でやりたい」。今の藤原にとって、1軍は必死に目指す場所になっている。

20人以上の報道陣が、スイング軌道を変えた藤原を注視する。その横で平沢大河内野手(22)が1人黙々と、同じようにバットの動きを確かめる。仙台育英(宮城)で甲子園準Vのスターも、今季でプロ5年目。遊撃のポジションはまだつかめない。この冬はトレーニング方法を変えた。

「危機感ですか? もちろんありますよ。若いチームなので、勢いのある選手も多い」。2年目オフに安田尚憲内野手(20)が入団。打球の強さに衝撃を受けたという。その安田でさえ「いつまでも子どもでいられない」と3年目を迎えた今、真顔になる。

8日には、ドラフト1位の大船渡・佐々木朗希投手(18)らルーキーが入寮。彼らがまた、先輩に危機感を植え付ける。近未来の黄金時代構築へ、マリーンズに「よきサイクル」が生まれている。【金子真仁】